在宅介護の知恵袋Vol.4「ワセリンの効果」
保湿剤として幅広く使われているワセリン。実はその特性を活かさまざまな使い方ができることをご存じでしょうか。介護や看護の場面においても色々と活用しています。今回の在宅介護の知恵袋Vol.4では、実際に介護や看護の現場で使用している活用方法をお伝えします。
1.ワセリンの効果
ワセリンとは、天然成分である石油を精製して作られた保湿剤です。肌に塗ると、表面に薄い油膜が作られ、この油膜が肌の内側から水分が蒸発するのを防いで、肌を保湿してくれます。他に衣類や寝具などの摩擦や刺激からも肌を保護してくれます。
2.ワセリンの種類
精製度(純度)によって「黄色ワセリン」と「白色ワセリン」の2種類に分類されています。
黄色ワセリン 純度の低いタイプ
若干の不純物が含まれるため、顔や敏感肌の人が使用すると肌荒れを起こす可能性があります。
白色ワセリン 黄色ワセリンより純度が高い
不純物が少ない為、肌荒れを起こしにくくアトピー性皮膚炎や敏感肌の人にも使用できます。
3.ワセリンの活用
施設や訪問看護は、病院とは違って、すぐにお薬をもらうことができないので、低刺激で副作用がほとんどないワセリンを使うことが多いです。しかし、ワセリンで傷は治せないので、皮膚トラブルの悪化を予防する目的で使用しています。
■ 皮膚に赤み(発赤)があるとき
寝たきりの方や自分で身体を動かすことができない方は、皮膚の圧迫や摩擦によって床ずれができやすくなっています。床ずれの徴候として皮膚の赤みがあります。皮膚とオムツや衣類 シーツなどによる摩擦を軽減する目的で赤みのある所に塗っています。
■ 皮膚が乾燥している時
ワセリンを塗ることで、皮膚の上に膜を作り、水分を閉じ込め乾燥を防ぎます。お風呂上りなど皮膚が少し湿っている状態で塗るのが効果的です。塗りすぎるとベタベタするので、薄ーく塗るのがgood👍 唇の乾燥にも効果あり◎
■ 陰部を保護して赤みやただれを予防したい時
便や尿が皮膚に触れ続けていると赤みやただれなど皮膚トラブルの原因になります。撥水効果のあるワセリンを塗ることで、皮膚を保護して皮膚トラブルを予防することができます。
4.使用する時の注意点
■ 顔に塗る時は白色ワセリンを使いましょう
純度が高い物を選ぶようにしましょう
■ 敏感肌の方も黄色ワセリンは避けて、より不純物が少なく低刺激の白色ワセリンを使うと安心です
■ ワセリンを塗る時は、塗りすぎるとベタベタするので、少量を手に取って薄ーく伸ばして使用しましょう
■ ニキビや吹き出物があるところに塗るのは避けましょう
ニキビや吹き出物を治す成分は入っていないので、状態によっては、ワセリンで毛穴が塞がって悪化する恐れがあります
まとめ
ワセリンは低刺激で安全性が高く、日常的に使用することで色々な皮膚トラブルを予防することができます。日常の介護の場面でワセリンを取り入れてみてはどうでしょうか